皆さん、こんにちは。Hello everyone and hello April! 東京の桜もそろそろ満開になり、新年度がいよいよスタートですね。
先週末、舎人公園に花見に行ったとき、ランドセルを背負った新一年生があちこち見かけました。とても可愛らしいです!今まで幼稚園または保育園では一番上のお兄ちゃんやお姉ちゃんでしたが、小学校に入ると急に一番下になります。環境が大きく変わりますが、すくすく成長し毎日学校を楽しんでほしいですね。
さて、Amy’s Weekly Letterは今年の1月からスタートして今回で第12号になりました。1月は「If I had a life to live over」の英語詩をご紹介し、2月は「魂の約束」という醍醐千里さんの日本語詩を英訳しました。3月は大女優Audrey Hepburnが残した言葉、英語から日本語に訳しました。
皆さん、お気づかれましたか。毎月、英語の原文から日本語訳 ⇔ 日本語の原文から英語訳を交互にしてきました。ですので、4月は、日本語の詩を英語訳に挑戦したいと思います。今月のテーマは、大正時代末期から昭和時代初期にかけて活躍した日本の童謡詩人、金子みすゞの詩です。
金子みすゞ第一回に選んだ詩は「私と小鳥と鈴と」です。私がこの詩に出会ったのはNHKの「らじる文庫」(ラジオで聞く文庫)コーナーでした。プロのアナウンサーによって朗読され、「みんなちがって、みんないい」がとても印象に残りました。
それでは、まずはこの詩の日本語原文です。以下お読みになりながら、これを英語にしたらどうなるかな?と考えて頂ければと思います。
「私と小鳥と鈴と」(金子みすゞ)
私が両手をひろげても、
お空はちっとも飛べないが、
飛べる小鳥は私のように、
地面(ぢべた)を速くは走れない。
私がからだをゆすっても、
きれいな音は出ないけど、
あの鳴る鈴は私のように
たくさんな唄は知らないよ。
鈴と、小鳥と、それから私、
みんなちがって、みんないい。
いかがでしょうか。それでは英訳に挑戦してみましょう。下記は私の英訳です。
“Me, the little bird, and the bell” (Misuzu Kaneko, English translated by Amy)
No matter how wide I spread both of my arms,
I can’t fly in the sky at all.
But the little bird who is flying high in the sky
can’t run fast on the ground like me.
No matter how hard I shake my body,
I’ll never make any beautiful sound.
But the bell that is ringing so loudly
doesn’t know lots of songs like me.
The bell, the bird, and me,
we are all different, and we are all good.
詩の英訳は言葉のリズムも考えないといけないので普段より難しいですが、訳したものは正解がないので自分が「これがいい!」と思ったらそれでいいです!
最初に「私が両手をひろげても」は色々な訳し方があります。「~ても」は「Even if」を使っても問題ありません。例えば「Even if I spread both of my arms」もOKです。
「広げる」はここで「spread」という動詞を使いました。物理的な「広げる」だけでなく、噂や病気を広げるにも良く使われます。spreadの過去形はspread/spread/spread(変わらない)です。
例:The virus is spread through contact with blood and other body fluids.(ウイルスは血液または他の体液の接触によって広げられます・拡散されます)
ここで日本語では 「両手をひろげる」 とのことでしたが、英語では 「hands」 ではなく 「arms」 を使いました。手のひらを広げることと区別したかったからです。著者の飛ぼうとしている動作から手よりも腕を広げるほうがイメージに近いかなと思いました。
私の英訳 「No matter how wide I spread my arms」 は、no matter how(どんなに~しても)を使いました。日本語原文にはない 「wide」 (広い)もここで強調するために追加しました。「No matter how wide I spread my arms」 は 「私がどんなに広く腕を広げても」 の意味になります。
「ちっとも飛べない」の「ちっとも」は「(not) at all」にしました。「all」は「すべて、全部」という意味で、「at all」は「完全に」という意味です。否定の時 「not at all」 は 「まったく無い」という意味になります。
「空を飛ぶ」: fly in the sky。ここでprepositionに注意して欲しいです。on the skyではなく、in the skyです。
2段落目も同じく「no matter how ~」の構造を使いました。同じフレーズを使ったほうが、詩がリズムに乗って響きが良いです。「No matter how hard I shake my body」=「私がどんなに強く体をゆすっても」。日本語原文にはない「hard」(強く・激しく)を追加しました。
「あの鳴る鈴は私のように
たくさんな唄は知らないよ。」
を行ごとに英語にしますと、とても難しくなりますのでここでは少し言葉の順番を英語に合わせてアレンジしました。
「But the bell that is ringing so loudly
doesn’t know so many songs like me.」
ここでもまた「loudly」を英語文に追加しました。二つの文のバランスが取れるようにと、「like me」の最後の「ミ」の音が「loudly」の最後の「リ」に重なって響きがとても良かったからです。これは詩だからこその遊びどころですね。
最後の文、「みんなちがって、みんないい。」の訳し方も色々があります。ここでは 「we are all different, and we are all good.」 に訳しましたが、「Everyone is different, (and) everyone is good」 でももちろん◎です。自分が好きなほうを選んでいただければ大丈夫です。
以上でいかがだったでしょうか。皆さんもそれぞれ自分の英訳バージョンがあると思います。繰り返しになりますが、訳すものは正解、不正解がありませんので、自分がいいと思ったものは(自分の)正解です。良かったら皆さんの「私と小鳥と鈴と」の英訳も読ませてください。記事の下のコメント欄またはLINEメッセージでお待ちいたします。
それではまた来週、金子みすゞ詩の英訳第二回でお会いしましょう。