皆さん、こんにちは。桜は散り始めましたが、今年のお花見は行かれましたか。
今週はいつもよりちょっと遅いですが、Amy’s Weekly Letter第13号をお届けいたします。4月のテーマは金子みすゞ詩の英訳、第二週に選ばれた詩は「さよなら」です。
まずは日本語原文をどうぞ。
さよなら
降りる子は海に、
乗る子は山に。
船はさんばしに、
さんばしは船に。
鐘の音は鐘に、
けむりは町に。
町は昼間に、
夕日は空に。
私もしましょ、
さよならしましょ。
きょうの私に
さよならしましょ。
この詩を選んだ理由は、最後「きょうの私に、さよならしましょ。」の文に魅かれたからです。著者の、過去に縛られず未来へ生きていこうという強い決意が感じられました。
この詩の日本語がとても簡単ですが、翻訳するのはとても難しかったです。今までの翻訳で一番難しかったかもしれません(笑)。日本語の単語が少なすぎるので、英語にする時そのまま単語を英語にするだけではほとんど意味が伝わりませんでした。
ここで私は一旦、日本語の詩から受けた景色を頭に浮かべて、その景色だけに頼りました。一旦原文の日本語から離れないと、この詩は英訳できないな~と思いました。
「降りる子は海に、乗る子は山に。」これだけだと、何のことを言っているのかわからないですね。詩を最後まで読んでから、もう一度この文を読むと、このような景色が浮かびました。おそらく著者が桟橋に立てて、船に乗り降りする人を見ていると思います。船から降りる子供は海から離れるので海にさよならして、一方これから船に乗る子は山にさよならするのでしょう。
「船に乗る」はget on the boat. 「船から降りる」はget off the boat.この様子を英語にすると、以下のようになります。
降りる子は海に、
The girl who got off the boat said goodbye to the sea.
乗る子は山に。
The boy who got on the boat said goodbye to the mountain.
そして、船に人が乗り終わりますと、船がまた出航します。桟橋から離れていく船は桟橋にさよならして、一方桟橋も船から遠ざかっていくので船にさよならする様子です。
ここで桟橋は英語で「pier」(noun)です。
船はさんばしに、
The boat said goodbye to the pier,
さんばしは船に。
the pier said goodbye to the boat.
恐らく船が出航する際に鐘が鳴ったのでしょう。そして、船のエンジンから出た煙はだんだん船と共に町を離れていきます。
鐘の音は鐘に、
The sound from the bell said goodbye to the bell.
けむりは町に。
The smoke said goodbye to the town.
町はこれから夜の時間に入りますので、昼間(お日様)にはさよなら。お日様もこれから日が暮れるので、お空から身を消しさよならすると。
町は昼間に、
The town said goodbye to the sun,
夕日は空に。
the sun said goodbye to the sky.
著者は周りの景色の移り変わりを見届けた後に、自分のことに視点を当てました。「私もしましょ」は、さ~それでは私の番だよ!という風に私が感じ取りました。
私もしましょ、
Well, it’s my turn
さよならしましょ。
to say goodbye too.
私はきょうの私に、さよならしましょ。「きょうの私」は時間が過ぎると、煙のように、夕日のように、消えていくので、私もそれにさよならしないといけない。
きょうの私に
さよならしましょ。
Let me say goodbye
to today’s myself.
以上、英語文だけを下記にまとめます。
Goodbye – Misuzu Kaneko – English translated by Amy
The girl who got off the boat said goodbye to the sea.
The boy who got on the boat said goodbye to the mountain.
The boat said goodbye to the pier,
the pier said goodbye to the boat.
The sound from the bell said goodbye to the bell.
The smoke said goodbye to the town.
The town said goodbye to the sun,
the sun said goodbye to the sky.
Well, it’s my turn
to say goodbye too.
Let me say goodbye
to today’s myself.
以上です。詩の英訳には今まで一番の難しかったです。。まだ100%すっきりしてはいませんが、現段階ではベストかな(笑)。もし、他の訳し方がありましたら、是非教えて頂きたいです。
それではまた来週のお便りにお会いしましょう。