皆さん、こんにちは。4月が後半に入りました。子供の二人が進学し、新担任先生とクラスに新しく加わったお友達に慣れたようで、毎日楽しく学校に行ってくれています。
さて、今週のAmy’s Weekly Letterでは金子みすゞの「四月」という詩をご紹介したいと思います。子供の新学年へのワクワク感が読み取れるので、タイミングは少し遅れていますが、是非一緒に読んでいきたいです。
四月(金子みすゞ)
新しいご本、
新しいかばんに。
新しい葉っぱ、
新しいえだに。
新しいお日さま、
新しい空に。
新しい四月、
うれしい四月。
とても簡単な詩ですので、ぜひ英訳に一緒にご挑戦ください。
April – by Misuzu Kaneko, English translated by Amy
New books
to the new bag.
New leaves
on the new branch.
New sun
in the new sky.
New April,
joyful April.
この詩の英訳に最初に引っかかったのは、(名詞の)単数・複数?特定したもの・不特定のもの?の悩みではないでしょうか。日本語の「ご本」を英語にすると、これは一冊の本?それとも数冊の本?日本語は単数でも複数でも「本」は「本」なのでそれを考えなくてもいいですが、英語にするとたん、book or booksかを考えないといけないのですね。また、これらの本は特定されているthe book/ the booksか、または不特定の a book/ booksなのか? a/theの冠詞は日本語にはないため、使い方が難しいですね。
以上のように、日本語と比べれば、英語は具体性と正確性が求められます。一方、日本語では「ご本」という丁寧な言い方でしたが、この「ご」の敬語はなかなか英語に訳せません。。英語では「敬語」という概念がないので、これこそ日本語の美しいところだと思います。
前回にもお伝えしましたが、詩の英訳は正解がありませんので、ご自身が日本語のことばから感じ取った感情や思い浮かんだ情景を自分風に英語にすれば大丈夫です。もし日本語の「新しいご本」を読んだとき、自分が一冊の本を思い浮かべば単数でいいですし、複数の本だったらbooksにすればOK。
私は自分の子供頃を思い出して英訳しました。
「New books, to the new bag」
新学年には新しい教科書が何冊もあって、それらを新しいカバンに入れて学校に背負っていくのが楽しみでした。ベトナムでは日本みたいに丈夫なランドセルがないので、当時は布製のカバンを使っていました。一年間使うとボロボロになるので、新学年には新しいカバンがもらえるのです。英訳文では、booksは複数にしtheは使わないですが(不特定の複数の本)、カバンについては一つのものthe new bagにしました。新学年にもらえるカバン(当然一つ)、そのカバンだよ!という意味なのでtheをつけました。
ここでもう一つ言及しておきたいのはpreposition (to/on/in)についてです。日本語の詩では三つの段落とも「に」が使われました。
「新しいご本、新しいかばんに。
新しい葉っぱ、新しいえだに。
新しいお日さま、新しい空に。」
この「に」は英語で to / on / in という三つの意味を指すことができます。
最初の「新しいご本、新しいかばんに」は、(私の中では)本をカバンに入れる様子を表したいので、「to」を使いました。全部言いますと「I put new books to the new bag」になります。
「新しい葉っぱ、新しいえだに。」は「New leaves(複数、不特定)/ on the new branch」にしました。ここでの「(新しいえだ)に」は「(新しいえだ)にある」の場所を表すものなので、「on」を使いました。ここでも木の一つの枝に焦点を当てていますので、「the branch」でした。
「新しいお日さま、新しい空に。」の「に」も「にある」と場所を表す意味ですが、英語ではon the skyは言わずin the skyです。これはフレーズとして覚えるしかないですね。
金子みすゞの詩の魅力はいつも最後の段落にあると私は思います。最後の段落は前の流れと異なり、読み手に新鮮な気づきを与えてくれます。この詩でもそうでした。
「新しい四月、うれしい四月」
四月はものがなんでも新しくなるので、気持ちもうれしくなる!と感じ取れました。
「うれしい」の英語表現は色々があります。happy, joyful, glad, pleased, delighted, thrilledなど。ここでは何となく喜び、楽しみが溢れる joyful を使いたくなりました。もちろん他の形容詞を使っても全く問題ありません。
いかがだったでしょうか。ご自身の「四月」の英訳はどんな感じでしょうか。
最後に、今日の英訳に出てきた冠詞 a (an) / the を少し練習したいと思います。a/an は単数で不特定の時に使い、theは単数・複数とも使われ、特定のものに使います。注意するのはもし世界で一つしかないものについて、文で初めて登場して the を使います(the sun, the moon, the earth, the sky, etc.)。
それでは、以下空欄に入るのは a/an/the 、どれでしょうか。ぜひチャレンジしてみてください。
1. Are these _____ pencils you want?
2. Whales are _____ biggest animals in the world.
3. I’ve got _____ dog and two cats. _______ dog is very smart.
4. I saw ______ insect flying in my room. ______ insect was a mosquito.
5. I wrote her number on ____ back of this sheet.
6. I want _____ orange from ______ tree.
7. Madrid is _____ big city. It’s _____ capital of Spain.
8. Please help yourself! ______ fruit is on _____ table and _____ water is in _______ fridge.
9. I’ve got ______ idea. Let’s go to _______ cinema!
10. I woke up in ______ middle of ________ night.
答えは来週のAmy’s Weekly Letterにお知らせいたします。それでは、bye bye for now!